自動詞
“「起きる、立つ、歩く、残る、消える」など、その語だけで人や物の自発的な動作や作用を表すことができる動詞。目的語を持たない。英語などの言語では、自動詞は受身の文型で使わないが、日本語では自動詞も受身表現に使われる。「雨に降られた」「子供に泣かれた」などがその例である。自動詞の中で「飛ぶ、歩く、通る、渡る、出る」など人や物の移動を表す動詞を移動動詞と呼ぶ。これらは「空を飛ぶ、道を歩く、店を出る」など、通過点や離脱点を助詞の「を」で示すため、他動詞と間違えられやすい。” 引用:高見沢孟他、新・はじめての日本語教育、ASK、2004年3月、P92
日本語の先生達は、学校でこのように習います。でも、実際、日本語教師という職業につくまで、私は一度も自動詞他動詞を意識したことはありませんでした。
これは日本語教師以外のすべての日本人に言えることです。生まれた時から親や周りの人達が話すのを聞いて、子供は音から言葉を学びます。ひらがなもかたかなもわからない状態で
まず、窓が開いているのを見て、ママが 「あ、窓が開いているね」と何度か言うと、
子供は、この状態は窓が開いている と 学習します。だから、日本人は、これは自動詞か他動詞かなんて意識しないで話しているのです。
何度か見るうちに、「ママ、窓が開いているね」と
言えるようになります。もしかしたら、
「猫ちゃんがこっち見てる」も 言えるかもしれません。
私は、授業で教える時は、自動詞は状態を説明している というふうに話しています。(他動詞に続く)
他動詞とは
“「食べる、飲む、開ける、消す、着る、頼る、かみつく」など、他の物や人に働きかける動作・行動を表す動詞。「天ぷらを食べる、親に頼る」などのように「天ぷら」「親」といった目的語を持ち、「を」や「に」という助詞で示す。日本語では「消えるー消す」「つくーつける」「決まるー決める」「沸くー沸かす」のように、自動詞と他動詞が形態的に対応しているものが多いため、学習者は混同しやすい。また「開く、閉じる、終わる、増す」などのように文脈によって自動詞としても他動詞としてもふるまう動詞もある。” 引用:高見沢孟他、新・はじめての日本語教育、ASK、2004年3月、P92
他動詞(たどうし)
〈「を」+動詞〉の形になる動詞 目的語+を の形になる
例えば
電気を点ける、 コーヒーにミルクを入れる、 焼きもちを焼く、 恋人を見つける
毎月の貯金額を増やす、服を汚す、木を倒す、 家を壊す、車を直す、病気を治す
ビールを冷やす、本を返す、など、 返すという動詞に対して何を? と説明するのが他動詞ですが・・・
自動詞・他動詞を簡単に覚える方法 (yukiko-sensei’s method)
yukiko-senseiの自動詞・他動詞の覚え方はこうです。 まず、他動詞の言葉を思い浮かべます。 例えば、私はお金を毎月5000円ずつ貯(た)めています。 (お金を貯める:他動詞) その結果、お金が毎月5000円貯まります(お金が貯まる:自動詞)← つまり 貯めた 結果 貯まった
English: “Yukiko-sensei’s method for remembering transitive and intransitive verbs is as follows: First, think of a transitive verb. For example, ‘I save 5000 yen every month.’ (お金を貯める: transitive verb). As a result, 5000 yen is saved every month (お金が貯まる: intransitive verb) ← In other words, it was saved as a result of saving.”
Traditional Chinese: “由紀子老師記憶及物動詞和不及物動詞的方法是這樣的:首先,想一個及物動詞。例如,’我每月存5000日圓。’(お金を貯める:及物動詞)。因此,每月會存下5000日圓(お金が貯まる:不及物動詞)← 换句话说,由于存钱的结果而存下来了。”
彼はペットボトルの蓋(ふた)を開けた (蓋を開ける:他動詞) その結果、ペットボトルの蓋が開いた(蓋が開く:自動詞)
English: “He opened the cap of the PET bottle. (蓋を開ける: transitive verb). As a result, the cap of the PET bottle opened. (蓋が開く: intransitive verb).”
Traditional Chinese: “他打開了寵物瓶的蓋子。(蓋を開ける:及物動詞)。因此,寵物瓶的蓋子開了。(蓋が開く:不及物動詞)。”
私はあえて自動詞・他動詞の分類は覚えなくてもいいと常に生徒さんに言っています。JLPTの試験では、これは他動詞ですか?自動詞ですか? という問題は出ないし、実際の会話においても、日本人は自・他動詞を使う時、
これは・・自動詞だから 「を」は要らないとか、他動詞だから 「を」をつけなくちゃ・・とは思っていません。どの言語を学習する時にも言えることですが、最低限の文法の学習は必要ですが、会話をもっと習得したい、つまりペラペラになりたい場合は、ただどんどん正しい日本語を自分の耳に入れてそれを今度は口に出してみることです。
これにはね、一つだけ重要なコツがあります。それは、あなたの文章にして覚えることです。教科書に書いてあることを100回言って覚えるより、私のレッスンで勉強したことを、今度はあなたの表現として覚えることです。そうするとイメージしやすくなり、本当の意味で日本語ペラペラの道へと進めることになります。
能書きはこの辺にして、実践練習に移りましょう。
私は、今日の最初に話した他動詞について、もっと長い文章を作って見ますね。皆さんイメージできたらそのまま覚えてください。そうじゃなければ、自分の文章を作ってそれを暗記してください。
行くよ!
電気を点ける→ 私は、夕方5時ごろ電気を点けます。今は暑いですが、エアコンはちょっとだけ点けて5分ぐらいですぐに消してしまいます。 (エアコンを点ける、点けて/ 消す/ 消して)
私は冷房に弱いんです。でも、日本の蒸し暑い気候にも弱いので、年々暑くなるこの異常気象にまじで北海道の釧路への夏場の移住を考えています。
どうでしょう? 電気を点けるという他動詞からたくさんの表現を作ってみましたが、皆さんイメージできましたでしょうか?
イメージしにくかった人は、~を点けるが一番イメージしやすいか考えて、例えばテレビを点けるでもいいし、扇風機を点けるでもいいので、あなたの一番イメージしやすい物を点けるという文章をまず作り、
次に私がしたように色々な表現を加えて長い文章にしてみてください。 出来た人は教えてね。
さて、次も上級の生徒さんでもよく間違える自他動詞、服を汚す です。
服を汚す、いくよ!
私の娘はまだ1歳だからいつもご飯を食べる時に服を汚します。
汚れたら洗濯すればいいんだけど、例えばカレーの汁とか、ケチャップのシミとか、醤油のシミとか、一旦服に付いてしまうとなかなか取れない汚れがあるので、困ります。
だから、娘の食事の時は、よだれかけを必ず付けさせてから、食事をさせるようにしています。
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ケチャップはオムライスに使ったり、フライドポテト(french fry)につけて食べたり、ホットドックに付けて 食べたりします。
子供は ケチャップが 大好きです。さて皆さん、服を汚す、イメージできましたか?
できなければ、皆さんにとって何を汚すとイメージしやすいかまず考えてくださいね。それから、文章を膨らませていきましょう。
それから、汚(よご)すという漢字は 実は い形容詞の汚(きたな)いと同じ漢字です。
皆さんは、汚(きたな)いでこの漢字を覚えている人が 多いんです。
なので、汚すや汚れるを見た時に、きたな-す と読んでしまう人が多いので 気を付けましょう。
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さて、それでは、最後に最近の水害で、木が倒れた、家が壊れたニュースについて文章を作ってみましょう。今年2021年は、台風や熱帯低気圧での水害の被害が多いのです。そのせいでたくさんの木が倒れたり、その木が倒れて道路が使えなくなったり、また残念なことに家が壊れてしまったりした人がたくさんいました。ですが、これは、今年に限ったことではありません。地球温暖化の影響だけの理由ではないのかもしれないけれど、実は、こういう天変地異(てんぺんちい)が続いていたり、コロナのような伝染病が流行(はや)ってたくさんの人が死んでしまう・・・というのは、なんだか世紀末に近づいているようで少し怖くもあります。世紀末(せいきまつ)というのは、本来は21世紀の終わりとか、20世紀末といえば20世紀の終わりつまり、西暦2000年を指しますが、日本では、世紀末が近づいているというとこの世が終わるんじゃないか・・つまり地球全体が終わって全員が死んでしまうんではないかというような意味になります。
今日は自動詞・他動詞は少ししか教えられなかったけど、また第3弾、4弾となるべく早くアップしていきますね。それでは皆さん、気を付けて。みんなでコロナに勝って生き延びましょう。
DL ↓ 変わる・変える Drill
自動詞・他動詞ドリル 変わる・変えるを入れて文章を作ってください
まずは 英語の ”OPEN” の意味を表す日本語について勉強してみましょう。
基本形(辞書形)
開く(あく)
開ける(あける)
開く(ひらく)
つまり ”開” という漢字に ”ける”という送り仮名がつくときは 開ける(あける)と読みます。
次に 開く(あく)と 開く(ひらく)はどちらも送り仮名が ”く” ですので、どうやって見分けるのか?
それは、前に来る助詞で判断します。
~を開く(ひらく)
例: 本を開く / 心を開く /
~が開く (あく)
例: ドアが開いて、ボスが入って来た。
ちなみに、 開けるの前に来る助詞も ~を開ける に なります。
例: 目を開ける / 鍵を開ける /
入る / 入れる
コーヒーに砂糖を (******)。
実家から届いた箱には、母の手作りの服が( ***)。← 状態を表す言葉
お気に入りの入浴剤を( *** て)、毎日お風呂に (******)。
私も仲間に(*****て)!
大学に(*****る)と、先輩の勧めるサークルに無理やり(***** た)。← 使役受け身形を使って下さい
カレーを作るなら、隠し味にお味噌を少し(****たら)おいしくなりますよ。
お客様へ: 只今工事中のためこちらのドアからは(お **** せん)。お手数ですが、反対側の入り口をご利用頂きますようお願い申し上げます。
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