突然ですが、私は変人（へんじん）です変な人という字を書きます。普段はそれが人に悟（さと）られないように、人に合わせて自分をなるべく出さないようにしていますので、あまり気づかれることはありませんが、これって変人の私にとっては、かなり辛いことで、生きてるだけでかなりストレスが溜まります。いきなりの重たい告白ですみません、でも実際に心療内科に通っていますし、心を落ち着かせるお薬も時々飲んでいます。いつから私がこうなってしまったのか、これは多分私の性格の一番大きな部分を占めている人見知りという性格の影響が大きいと思います。

人見知り。それは、人となかなか仲良くなれない人のことをいうのですが、私は明るい性格に見えるらしく、私と会った人は、私が人見知りだと言っても、信じない人が多いんです。　私は実は子供の頃は、親の陰に隠れていて、知らない人と会うと泣き出すようなひどい人見知りでした。うちの妹は逆に誰とでもすぐに笑顔で仲良くなり、みんなにかわいがられるという感じで、大人になってからも親戚の人は私が苦手で、まあ、こちらも苦手なので親戚づきあいが大嫌いでした。今はさすがに自分を隠すことができるようになりましたので、表面上は親戚の人とも笑顔でお話ができますが、本当はあまり得意じゃありません。

普通は学校に行くようになれば、少しずつ友達もできて人見知りも少しずつ治っていくんだと思うんですが、私の場合、学生生活も私の人付き合い（ひとづきあい）の悪さに拍車（はくしゃ）をかけました。　というのも、小さい頃から私が高校を卒業するまで父の仕事が安定せず、その度（たび）に父は住まいを変えたので、私は2年に一回ぐらい、ひどいときは、3カ月ぐらいで転校しなければなりませんでした。生まれたところの小学校に入って2年生までは地元の長崎の田舎の小学校に行ったものの、それから福岡に引っ越しして小学校の間だけでも4回転校、友達ができるはずもありません。元々人見知りで、自分からみんなの輪に入っていくこともできない上に、極端な運動音痴でみんなとスポーツをするのも苦手、なのに勉強だけはできる・・・という、そうだね、みんなからしたら、嫌な感じの転校生でしたね。どうしてそんなに父が仕事を変えるのか子供に説明してくれるような親でもなく、とにかく、私は一つの場所にはずっと居られないんだ・・となんとなくあきらめていました。親との仲もうまくいっていなかったので、父は私が大嫌いで、私もこの世で一番嫌いな人物は父だと誰に聞かれても答えていたぐらいなので、本当に変な奴だったんだと思います。

その反面、世界で一番好きな人は母で、母が居ないと生きていけないとずっと最近まで思っていました。でも、母にもそんなに愛されていなかったように思います。だから、私の心には常に大きな穴が開いていて、それを埋めるために恋愛し、誰かに守ってもらおうとしました。たくさん恋愛をし、愛されてきたはずなのに、何かが物足りなくなる。　それが何なのかずっとわかりませんでした。若い頃の私は男性に対しては全然人見知りではなく、考えもなくどんどん行っていましたし、そのころの私は母の言うとおり、いい人を見つけて結婚して、完璧な主婦になる・・ということしか考えていませんでした。

今は世界中の生徒さん達と出会い、女性は仕事を持つべきだと思うし、家事を男性が分担してもいいとも思いますが、この考えは日本語教師になって、皆さんと出会ってから生まれたことで、それ以前の私はどうしたら夫に喜んでもらえる料理ができるのか、どうしたら、外で働いた夫が帰ってきて居心地よく過ごせるのかと、夫につくすことばかりを考えていました。人見知りはずっと治らないままですが、家に時々夫が誰か連れてきても、それは良い妻だと夫の周りに思われたくて、かなり演技をしていました。馬鹿ですねぇ。今考えると、自分を捨て、ただ良い妻に見られたいと・・それは単なる見栄でしかありません。つまり、何も持っていない私の見栄、「良い奥さん」というタイトルが欲しいとそんな馬鹿なことをずっと考えていたなんて。取り戻せるならこんな馬鹿な時間を取り戻したい思いでいっぱいです。

何か習い事をしても、皆さんのようにグループを作ってそこに入るのが苦手で、いつも一人でいました。でも、心の弱い私は、「私は私、無理して人に合わせなくてもいい」とは思えず、なんとなくこんな私でも受け入れてくれそうな人の所へすり寄っていっては、なんとかそこのグループに入れてもらっていました。　でも、女性のグループって全然生産性がない人達（そこからは何も生まれない）の集まりが多く（すみません、これは私の偏見ですが）、どこのグループでも人のうわさ話や夫や子供の愚痴を話して盛り上がるというようなイメージを持っていたので、グループでお茶などをしても、結局は私は人に合わせて笑ったり、ふ～んと興味のあるふりをして全く興味のない話を聞いて、結局別れた後はものすごく疲れていました。

でもね、この日本語教師という職業に出会って、たとえボランティアでも人のために何かしようというような人達と出会うと、無理にグループを作るわけでもなく、でも常に皆さん進歩的でボランティアの日本語教室に通ってくる外国人の生徒さん達のために「一つでも多く、日本語を覚えて帰ってもらおう」という理念を持つ人が何人か居ました。私はこの頃から少しずつ変わっていって、現在のオンライン日本語教師を始めてからは「世界には、色んな人がいて、色んな考えがあってもいいんだ」と気づかされました。だから、重症の人見知りが治ったのは、実は生徒さんたちのおかげなんです。

こんな私を見て、今はきっと天国に居るであろう私の両親は声を揃えて言っていると思います。「人より目立ってはいけない。出る釘は打たれるんだから」と。そうです。昔の日本人の考えは人と違ってはいけない、そういう奴は変人だ、だから常に人を見て行動しろ、人に合わせろ、という考えでしたので、というか、大分（だいぶ）、時代が変化して人と変わっていることは変人ではなく、個性的だということが認められるようになってはきましたが、そんなふうにいい評価をもらえる人はごく一部、やはり日本人のDNAの中にどこか「人と同じでなきゃ変人」という考えが残っていて、人と違う行動をすればすぐにたたかれてつぶされてしまうのが現実です。今は特にSNSなどで、気軽に人を傷つけるような心無い行為も増えてきましたからね。変人ではなく、個性的だと言われるのもやはり覚悟が必要なようです。

相変わらず私はとても弱虫で、叩かれるのも傷つけられるのもとても辛いんですが、これだけは声を大にして言えます。「私は私。他の何者でもない」と。傷つきたくないけど、今の私が誇れるのは日本語教師という仕事だけだから、すごく勉強をしても会話がうまくできない生徒さん達のために何かをしたいと思って、podcastやyoutubeを始めました。さっそく、ある生徒さんからはグループに入ったほうがいいよとアドバイスをもらったんですが、できないですね。私は一人だけでゆっくりと発信していきたいと思います。2年後、3年後、もっと多くの人がこれを聞いてくれたらいいなぁ、今の私の願いはそれだけです。　それではまた、　yukikoの　Minority Journal　でした。